耐震、制震、免震とは、建物の地震被害を軽減する3種類の建築技術工法を言います。
「耐震」とは、地震の力に対し、合板・パネル、筋交いなどで骨組み・壁の強度を上げて、粘り・耐える構造にする技術で、建物自体の強度で倒壊を避ける方法です。建築基準法の耐震基準は、この技術による耐震性能を義務づけるものであり、地震に対する建物の強度を高めるという意味で基本的な構造となります。免震・制震などを採用するにしても、耐震工法の建物に付加して、次の段階として制震・免震などが盛り込まれることになります。
「制震」とは、躯体(建物の柱、梁、壁など構造上重要な部分)に、ゴムダンパーやオイルダンパーなどの制震装置を組み込んだり、建物の固有周期と同じ周期で揺れる錘(おもり)を取り付けたりして、建物に伝わった地震の揺れを吸収する構造になります。繰り返しの地震に有効とされ、地震の揺れが上の階ほど増幅する高層ビルや大規模建築物に有効な技術とされる。免震に比べるとコストは安価です。
「免震」とは、建物と基礎との間に免震装置を設置して、地盤と切り離すことで建物に地震の揺れを直接伝えない構造。一般的には、建物と基礎の間に積層ゴム(金属とゴムを層状に重ね合わせたもので、水平に動きやすい)を敷いたり、スプリング、スライドする装置などを設置します。
免震は地震の水平方向の揺れには強いが、縦揺れに対して弱いとの指摘がある。建物を浮かせる構造なので、コストは大きく、免震装置の定期的なメンテナンスも必要となります。
1995年1月の阪神・淡路大震災では、死者の約8割が建築物の倒壊や室内の家具等の転倒によるもので、家具等の転倒によるものは約4割にのぼっています。ですので阪神・淡路大震災以降の地震対策は、建築物の耐震化と同時に、室内の家具等の転倒防止対策に重点が置かれています。
「建物内の揺れを軽減する」という観点から耐震、制震、免震を評価すれば、免震が有効であることは間違いありません。