AEDは心臓のふるえを電気ショックの刺激によって取り除く装置であり、日本語では「自動体外式除細動器」と呼びます。
AEDの使用目的と効果
人が倒れ意識を失っている場合、心室細動という不整脈を心臓が起こしているケースが考えられます。人間の心臓は筋肉から発信される電気信号によりリズミカルな収縮を行っていますが、なんらかの原因で電気信号が上手に伝わらなくなってしまうのが心室細動という状態です。
心室細動になると、心臓が全身に血液を送り出せなくなってしまうため、最終的には死につながります。AEDは、放っておけば死につながる心室細動を治療することを目的に開発されました。
心室細動に陥っている心臓に、強力な電流を一時的に流しショックを与えることで、心臓が正常な働きを取り戻す可能性があるのです。
AEDは誰でも使える
電気ショックと聞くと使用をためらうかもしれませんが、AED自体は一般市民の方でも使用できるようになっています。
AED1台あたりの購入費用は18~70万円ほどとなっていますが、自治体によっては設置の際に補助金が出るようになっています。そのため、みなさんもご存じの通り、AEDは病院や診療所だけでなく、空港、学校などいたるところに設置されてるのです。
防災シェルターを用意していたとしても、場合によっては外に避難することも考えられます。あなたがAEDを使用する場面に遭遇する可能性は、十分にあるでしょう。
心室細動が発生し心臓の働きに異常があらわれれば、刻一刻と症状は悪化し命の危険が高まります。そのため、一刻も早くAEDを使用することが電気ショックの成功率を高める鍵となります。
具体的に、AEDの使用が一分遅れるごとに電気ショックの成功率は約7~10%低下すると言われています。
AEDは電気ショックを与えるものなので使用をためらうかもしれませんが、AEDには診断機能がついており、必要のない場合は電気が流れないように作られているのです。
AEDの使い方
日常の中でAEDの使用を体験することは少ないですが、使い方を事前にイメージしておくだけでも、いざというときに動きやすくなります。
AEDを使用する場合は、ふたを開けて電源を入れます。音声の指示に従って、電極パッドを指定の場所(右胸の上部と左胸の下部)に貼り付けます。
AEDが心電図を解析し、電気ショックが必要か判断します。電気ショックが必要な場合は、音声の指示に従ってショックボタンを押します。ショックボタンを押す前には、周囲の人に離れるように指示をし、必ず倒れている人に誰も触れていないことを確認します。
AED自体の使い方は、これで終わりです。
実際にAEDを使用する際は、周囲の人と協力して119番通報→心臓マッサージ→AED使用→心臓マッサージ→AED使用…と繰り返します。
詳しい一連の流れについては、こちらを確認しましょう。
公益財団法人 日本心臓財団 AEDをつかった救命の仕方
■まとめ
AEDは、心室細動を起こしている人を一般市民が助ける唯一の手段です。被災後は費用をかけた防災シェルターで生活することになるかもしれませんが、大きな環境の変化が原因でAEDを必要とする場面に遭遇する確率も高まるでしょう。
万が一の場合は、落ち着いてAEDの使用をためらわないことが大切です。