現在の防災対策、防災教育では災害時と災害が起きていない平時を分けて考えるのが一般的です。フェーズフリーはスペラディウス株式会社代表の佐藤唯行氏が2014年に提唱した、「日常時」(平時)と「災害時」というふたつのフェーズ(区切り)をなくそう(フリーにする)という考え方です。

大事な人は守りたい、まだ備えてはいない

大事な人が災害でなくなってもいいと思う人はいないでしょう。できれば、災害で悲しい辛い思いをしたくない。

その一方で、十分に災害に備えている人はどのくらいいるでしょうか。どのくらい時間を割いているでしょうか。おそらく、仕事や家族のだんらん、家事育児など目の前にある出来事で毎日が終わっているのではないでしょうか。

備えが優先されない理由のひとつが平時には災害が具体的にイメージできないこと。いつ起きるか分からない、どのくらい危険か分からないので先延ばしにしてしまうのです。

備えることができないならば

防災用品をわざわざ備えることができないならば、平時に使うものが災害時にも違う形で利用できればよいというのがフェーズフリーの考え方です。

防災に特化したものを用意するのではなく、身近にあるものが災害時にも力を発揮すれば、備える必要はなくなります。防災の機能をおまけ程度に付加した製品ではなく、日用品としても使い勝手がよく便利で、災害時にも役立てば、それは製品の個性であり強みになります。消費者は日用品を買うだけで災害に備えることになるのです。

たとえば、平時には燃費がよく走行できて、災害時には非常用電源になるハイブリッド車、メモリが入った紙コップなどが挙げられます。場合によっては保存食である漬け物や水に強い油性ペンなども含まれるかもしれません。日常でも濡れたところに書くことができるのはメリットですし、災害時には条件の悪い場所で筆記する必要性も出てくるかもしれないからです。

フェーズフリーはアイデアフリーでもあるかもしれません。価格以上のサービスやメリットを提供できれば、価格によらず商品を選んでもらえるのは、ハイブリッド車の販売数を見ても明らかです。

まとめ

防災シェルターは地下式のものが多く、災害時にも快適に過ごせるように空調設備もしっかりしております。平時にはワインセラーとして利用し、災害時には防災シェルターとして安心して過ごすことができるとしたら何よりの備えになりますね。避難場所でワインをたしなむとは贅沢で優雅な気もしますが、災害が発生して不安な気持ちを和らげるためにはよいアイデアかもしれません。

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