実は、消防の組織は市町村単位で別会社であり、隣の消防は同業者という位置付け。
1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災。
今から20年以上も前に発生した震災ですが、その時の様子をまだ鮮明に覚えている方も多いのかもしれません。
死者6,000人以上、傷病者40,000人以上、家屋被害500,000棟以上の被害をもたらした大災害であり、戦後空前の大災害となりました。
この震災では、兵庫県内の全消防本部、そして全国41都道府県からも応援出動しており、消防隊員約30,000人が駆けつけました。
しかし、あまりにも大きな震災であったため、県内の全消防本部が集結したところで対応できず、県外からの応援も必要不可欠な状況ではあったのですが、その県外からの応援に遅れが生じていたのです。
その理由としましては、近隣(県内)の消防本部からの応援については応援協定が組まれていましたので早急な対応がなされたのですが、県外については応援協定が組まれていなかったためです。
つまり、いつか発生するであろう大災害に備えての全国的な応援体制が整っていなかったということです。
「ところで、なんで応援協定とかあるの?消防は全部同じ組織じゃないの?」
実は、消防という組織は、市町村単位の組織であり、隣の市とは別の組織なのです。
簡単に言いますと、“隣の市の消防は別会社です、だけど同業者です“ということ。
隣の県であっても同じことが言え、道府県の市町村単位ですべて別の組織ということなのです。(※東京都は、一つの組織です。また現在、隣接する市町村で広域消防としている地域も多くあります。)
ということは、基本的には隣の市の災害出動はしないということであり、大きな規模の災害が発生した時は、応援出動するということなのです。
話を戻しまして。
この震災を機に、同年6月(震災から5か月後)、全国の消防機関による応援体制を迅速に実施するための“緊急消防援助隊制度”が発足されました。
緊急消防援助隊の登録部隊数や出動回数は
緊急消防援助隊の登録部隊数は、2015年度現在で、全国の約800消防本部から4,984部隊が登録されていますが、東京オリンピック開催や特殊災害への対応に備え、6,600部隊へと拡張する予定としています。
また、出動要請があれば県単位での部隊編成を行い、その県の市町村消防本部の登録部隊を集結させ、〇〇県部隊として出動します。
登録部隊の種類を大まかに列記しますと、
・指揮隊
・消火隊
・救助隊
・救急隊
・後方支援隊
・通信支援隊
・航空隊
・水上隊
・特殊災害部隊
・特殊装備部隊
・総合機動部隊。
・NBC災害即応部隊
・土砂・風水害機動支援部隊
これらの部隊が登録されており、必要な部隊を集結させて県単位で総合部隊を編成します。
1995年6月に緊急消防援助隊制度が発足されたのですが、その後においても地震、集中豪雨、噴火、雪害、車両脱線事故等大きな災害が多発し、これまでの出動回数は40回以上にも上ります。