クラッシュシンドロームが初めて認知されたのは、1940年のロンドン大空襲であると云われています。
がれきの中から救出されたにも関わらず、数時間後に意識が失われていき、最悪死に至ってしまいます。阪神淡路大震災では約370人以上が発症し、その中で50人が死亡したという報告があります。
もし防災シェルターを備えていたら、きっと建物の損壊によって命を落とすことはなかったでしょう。けれど当時の防災意識というのは今以上に低く、まして高額な費用を必要とする防災シェルターの存在すら知らなかったと推測されます。
今回はクラッシュシンドロームに焦点を当て、症状などを探っていきましょう。
■クラッシュシンドロームとは?
症状
原因は身体の一部が長時間挟まり、その状態が解放されることで発症します。初期には運動、知覚麻痺などが起こり、筋肉部分が腫れて広範囲に出血が見られます。
救出直後はあまり痛みを感じませんが、しばらくすると圧迫部位の麻痺やしびれなどの症状が出てきます。尿は茶色くなって量も減少します。
急性腎不全、心不全などを引き起こし、最悪の場合は死に至ります。
兆候や判断基準
●2時間以上挟まれていた
●部分が腫れあがり、点状出血がみられる
●尿が茶褐色に変化する
●挟まれた部分の感覚麻痺
救出時にすべきこと
救出後病院へ運ぶ前にすべきことは、まず水を飲ませてあげることです。可能ならスポーツドリンクが一番適していますが、水やお茶でも大丈夫です。
有害物質が全身に流れ出すのを防ぐ為、圧迫されていた部分より心臓に近いところをタオルなどでしっかり縛りましょう。
病院に到着した際には、クラッシュシンドロームの疑いがあることを伝えるのが大事です。そして透析のできる施設に運ぶのが望ましいです。
治療法
治療法としては、血液透析、輸血、切開手術などが主なものとなります。感染症の疑いもあるので予防策を取り入れ、様々な治療法を試みます。
壊死している部分は切除することになりますが、正常な部分を守る為には致し方ありません。
まとめ
このクラッシュシンドロームの恐ろしいところは、無事に救出されて元気そうにも関わらず、突然様態が急変することです。
阪神淡路大震災で注目された症例ですから、それまで一般の人には知識が全くありませんでした。以降知れ渡るようになり、災害時には注意をはらうようになってきました。
誰もがいつか大地震が起こる可能性を危惧しながら、有効な対策を取っていないのが現状です。これからの時代異常気象も含め自然災害を防ぐ手段として、防災シェルターの重要性は高まっていく筈です。費用が少しでもリーズナブルになることを願います。